宇宙散骨とは?方法や費用相場、メリットや注意点を知ろう

宇宙散骨とは?方法や費用相場、メリットや注意点を知ろう

2023/09/16

少子高齢化や核家族化などを背景に、お墓を持たない供養方法である散骨を選択する方が増えています。

散骨にはいくつかの種類があります。遺骨を海に撒く「海洋散骨」、遺骨を山に撒く「山林散骨」などが一例です。そして、近年徐々に注目されているのが、宇宙へ散骨する「宇宙散骨」です。

しかし一方で、「宇宙散骨」はそれほど認知度の高い供養方法ではないため、その方法や種類、費用相場などを知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、宇宙散骨の方法や費用相場、メリットや注意点などを紹介します。

宇宙散骨とは

宇宙散骨とは、「パウダー状にした故人の遺骨や遺灰を宇宙空間へ散骨する供養方法」です。

宇宙散骨は、ほかの散骨方法同様、自然葬の一つです。「宇宙葬」とも呼ばれ、1997年、アメリカで初めて宇宙散骨が行われました。

かつては一部の人に限られた供養方法でしたが、20数年が経過した現在では、技術の進歩により一般向けのサービスも登場しています。

宇宙散骨の方法

一口に宇宙散骨といっても、いくつかの種類があります。

宇宙散骨の主な方法は以下の3つです。

・バルーン散骨
・ロケット散骨
・月面散骨

ひとつずつ見ていきましょう。

バルーン散骨

バルーン散骨は、「環境に配慮した特殊素材で作られたバルーンに遺骨を入れ、空に向けて飛ばす散骨方法」です。バルーン葬ともいいます。

バルーンが成層圏に達すると、気圧の変化でバルーンが破裂し、遺骨が成層圏へ散骨される、という仕組みです。

バルーンは成層圏までしか上昇しないため、厳密にいえば「宇宙」ではありませんが、広義では宇宙散骨のひとつに数えられています。

ロケット散骨

ロケット散骨は、「遺骨をカプセルに詰め、地球の周回軌道上までロケットで打ち上げる散骨方法」です。

人工衛星は地球を数日~数年周回した後、大気圏に突入して燃え尽きます。最後の姿が流れ星のように見えることから、流れ星供養や大気圏供養とも呼ばれています。

そのほか、遺骨を納めたカプセルを人工衛星に乗せて宇宙空間へ運ぶ、という方法もロケット散骨の一種です。

月面散骨

月面散骨は、「遺灰の入ったカプセルをロケットに搭載して月まで運び、着陸後、月に散骨する供養方法」です。

遺灰の入ったカプセルを月面に放置する、または、ロケットごと月に落下させる、という方法があります。

月をお墓にするというコンセプトであるため、遺されたご家族は地球から月を見上げれば、いつでもお墓参りしている気分を味わえます。

宇宙散骨の費用相場

宇宙散骨は、遺骨や遺灰を宇宙空間のどこまで飛ばすのかによって料金が変わり、その費用相場は30万円~270万円までと大きく幅があります。

それぞれの費用相場は以下のとおりです。

・バルーン散骨:30万円前後
・ロケット散骨:30万円~270万円
・月面散骨:120万〜270万円

単に打ち上げるだけのシンプルなプランであれば数十万円で実施できますが、月や外宇宙へ向かったり、オプションを追加したりする場合は、費用が200万円を超えることもあります。

宇宙散骨のメリット

宇宙散骨のメリットは、主に以下の3つです。

・ロマンを感じられる
・子や孫に負担をかけない
・お墓の購入に比べれば費用負担が少ない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ロマンを感じられる

故人は、死後ではあるものの、宇宙散骨を通じて宇宙旅行を体験できることになります。

特に、「宇宙に憧れがあった」「一度、宇宙旅行という夢を叶えたかった」というロマンや夢を生前持っていた人にとっては、とても特別感のある供養方法といえるでしょう。

また、遺された家族にとっても、空を見上げれば故人を感じられ、いつでも故人との思い出を振り返れるといったメリットがあります。

子や孫に負担をかけない

宇宙散骨は、ほかの散骨同様、お墓を持たない供養方法です。

一般墓に納骨すると、将来にわたり子孫やお墓の後継者がお墓の維持管理をしなければなりません。しかし、少子高齢化や核家族化などが進んだ現代において、お墓の維持管理はご遺族へ大きな負担となります。

一部の遺骨を宇宙散骨し、残りの遺骨を手元供養や海洋散骨で供養すれば、お墓の管理から解放されます。このように、「子や孫の世代に負担をかけたくない」といった願いを叶えてくれる供養方法のひとつが、宇宙散骨です。

お墓の購入に比べれば費用負担が少ない

株式会社鎌倉新書の調査『第14回 お墓の消費者全国実態調査(2023年)』によると、新たにお墓を建てる場合の費用は、平均152.4万円です。

また、お墓によっては、購入費用とは別に毎年数千円~数万円の管理料や墓地管理費といった費用を負担する必要があります。

一方、宇宙散骨の場合、散骨の実施費用は発生するものの、管理料や墓地管理費などは発生しません。

将来にわたる経済的な負担を考慮すると、お墓の購入に比べて宇宙散骨のほうがトータルの費用負担は少ないといえます。

宇宙散骨で押さえるべき注意点

宇宙散骨はロマンや夢を実現できる魅力的な供養方法ですが、押さえておきたい注意点もあります。主な注意点は以下の4点です。

・残りの遺骨の供養方法を決める必要がある
・打ち上げが延期されることもある
・詐欺やトラブルも少なくない
・生前予約や前受金に注意する

ひとつずつ見ていきましょう。

残りの遺骨の供養方法を決める必要がある

宇宙散骨で宇宙へ打ち上げられる遺骨や遺灰は、ほんの数グラムです。

遺骨のほとんどは手元に残るため、別の供養方法を決める必要があります。お墓を作らない選択肢をとる場合は、海洋散骨や手元供養などと組み合わせての供養をおすすめします。

宇宙散骨はお墓の代わりではなく、「ロマンや夢を叶える供養方法のひとつ」と認識しましょう。

打ち上げが延期されることもある

宇宙散骨は、プランごとに打ち上げるロケットが異なり、散骨実施までに何年もの時間を要することがあります。

特にロケット散骨の場合、ロケットや人工衛星の打ち上げスケジュール、当日の天候、散骨希望者の応募状況などによって、実施までに時間を要するケースがほとんどです。予定していた打ち上げが延期されることや、中止になることもあります。

バルーン散骨のように比較的個人の希望スケジュールに対応してくれるケースもありますが、宇宙散骨を希望する場合は、「申込から散骨実施まで数年かかる」と考えておいたほうがよいでしょう。

詐欺やトラブルも少なくない

宇宙散骨は20数年前から始まった、比較的新しい供養方法です。そのため、宇宙散骨プランを提供している事業者はまだ少なく、複数のサービスを比較検討するのは容易ではありません。

リアルな体験談や口コミ、良し悪しを判断するための情報が入手しにくいため、詐欺やトラブルに巻き込まれる可能性も少なくありません。

「お金を振り込んだ後、連絡がない」「電話をしても繋がらない」といった詐欺やトラブルが不安な方は、別の方法での散骨も検討しておきましょう。

生前予約や前受金に注意する

生前、自身の供養方法として宇宙散骨を希望していた場合、生前予約や前受金を納めることがあります。

しかし残念なことに、申込者本人は、その事業者が宇宙散骨を実施したかどうかを確認する術がありません。死後間もなく、事業者が倒産してしまう可能性もあります。

宇宙散骨を生前予約したり、前受金を納めたりした場合には、その旨をあらかじめ家族に伝えておき、実際に散骨された様子を見届けてもらいましょう。

宇宙散骨以外の散骨方法

「故人を自然に還してあげたい」「宇宙散骨とほかの散骨を組み合わせて故人をお見送りしたい」という方も多いことでしょう。

宇宙散骨のほかにも、費用負担が少なく、トラブルの少ない散骨方法は存在します。

ここからは、宇宙散骨以外の散骨方法として「海洋散骨」と「山林散骨」を紹介します。

海洋散骨

海洋散骨とは、「祭祀の目的をもって、パウダー状にした遺骨を海に散布する供養方法」です。

海は、自治体の規制や条例などが及ばず、誰の所有物でもないため、現在の日本においては最もトラブルの起こりにくい安全な散骨方法といえます。

ただし、海水浴場や漁場など、生活圏に近い場所での散骨はトラブルの原因になるため、注意が必要です。

山林散骨

山林散骨とは、「パウダー状にした遺骨を山間部・森林部に散布する供養方法」です。

私有地の山や森林での散骨であれば問題はありませんが、他人が所有する土地や水源地に近い場所での散骨はトラブルの原因となるため、注意しましょう。

近年は特に海洋散骨が注目されている

家族の思い出が詰まった川や、ふるさとの川などへの散骨を希望する方も少なくありません。ただし、川の水は生活用水や農業、工業用水に利用されているため、散骨すると多くの方の迷惑になります。

一方で海は、避けるべきエリア・場所こそあるものの、原則として許可なく散骨可能です。

また、海洋散骨業界には、海洋散骨のルールやガイドラインを制定する業界団体や、散骨希望者に適切なサポートやアドバイスを行う「海洋散骨アドバイザー」も存在します。

初めて散骨する方でも安心して散骨できる環境が整っているため、特に海洋散骨は他の散骨方法に比べて利用者が増えている状況です。

⇛海洋散骨の許可や資格については、こちらの記事で詳しく解説しています

海洋散骨のメリット

ここからは、海洋散骨のメリットを紹介します。主なメリットは以下の3つです。

・費用を抑えられる
・子や孫に負担をかけない
・地球環境への負荷が少ない

ひとつずつ見ていきましょう。

費用を抑えられる

お墓を購入する場合と比べると、海洋散骨は費用を抑えた供養が可能です。

株式会社鎌倉新書の「お墓の消費者全国実態調査(2023年)」によると、お墓の購入平均価格は、一般墓が152.4万円、樹木葬が66.9万円、納骨堂が77.6万円でした。

一方、海洋散骨の価格帯は、チャーター散骨が20万円~40万円、合同散骨が10万円~20万円、代行散骨が5万円~10万円です。

また、お墓を購入する場合は、購入時の費用だけでなく、年間管理料や墓地管理費などが追加でかかります。一方の海洋散骨は、施行時以外のメンテナンス費用が発生しません。

⇛海洋散骨の費用や業者選びについては、こちらの記事で詳しく解説しています

子や孫に負担をかけない

多くの方が、「お墓の後継者がいない」「子や孫など次世代に負担をかけたくない」といった理由で海洋散骨を選択しています。

お墓は原則、後継者である家族が日頃から手入れや維持管理をしなければなりません。また、管理料の滞納が続くと、そのお墓は「無縁墓」とみなされ強制的に撤去されてしまう可能性があります。

納骨までのプロセスやお墓参りに行く手間などを考慮すると、海洋散骨のほうがご遺族への負担が少ない供養方法といえるでしょう。

地球環境への負荷が少ない

海洋散骨は「自然葬」のひとつです。自然から生まれた人間を自然の循環に還す、というコンセプトから始まった文化的背景があります。

また、2000年代以降、サステナビリティやエコロジーといった言葉が注目されてきたように、私達の日常は地球環境問題と向き合うことが当たり前となりました。そうした時代背景からも、地球環境に優しい供養・葬送方法が望まれ、選択されるようになってきています。

一方、野山を切り拓く霊園開発や、都会の真ん中に建設されているビル型の納骨堂などは、必ずしも地球環境に優しいとはいえません。

海洋散骨はさまざまな埋葬方法の中でも、地球環境への負荷が少ない供養方法として注目されています。

まとめ

本記事では、宇宙散骨の方法や費用相場、メリットや注意点などを紹介してきました。

宇宙散骨は、ロマンや夢を叶えられる魅力的な供養方法です。ただし、比較的新しい方法であることから、実施する事業者が少なく、注意しなければ詐欺やトラブルに巻き込まれる可能性があります。

トラブルなく安心かつ安全な散骨を希望する方には、海洋散骨がおすすめです。ただし、ルールやマナーを守らず個人で散骨すると、法律違反になる恐れがあります。海洋散骨を実施するときは、信頼と実績のある海洋散骨業者に依頼しましょう。

ブルーオーシャンセレモニーは、日本海洋散骨協会の加盟事業者として長年活動する、プロの海洋散骨会社です。さまざまなご要望にお答えできるよう、経験豊富なスタッフが全力で散骨をサポートいたします。

海洋散骨を検討中の方や、散骨に関して気になる点がある方は、気軽にブルーオーシャンセレモニーにお問い合わせください。

 

【参考】

第14回 お墓の消費者全国実態調査(2023 年)|株式会社鎌倉新書

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