海洋散骨に資格は必要?トラブルを避け故人をお見送りする方法を解説
2023/07/08
海洋散骨は個人でも行えますが、ルールやマナーを守らずに行うと近隣住民や観光業・漁業関係者とトラブルになる恐れがあります。そのため、プロの散骨業者に依頼することが一般的です。
その一方で、複数の業者の中から優良業者をどのように探せばいいのか迷う人も少なくありません。業者選びで参考にしたいのが、海洋散骨関係の資格です。特に「海洋散骨アドバイザー」は、海洋散骨に関する専門的な知識や技術を証明する資格として有名です。
本記事では、海洋散骨関係の資格内容や取得方法、資格を持たないことで起こりうるトラブルについて解説します。
海洋散骨に特別な資格は必要ない
現在の日本には、海洋散骨を含め、散骨を直接禁止する法律や規定はありません。そのため、基本的には誰でも自由に海洋散骨を行えます。
ビジネス・プライベートにかかわらず、海洋散骨に特別な資格は必要ありません。
また、特定の条件を除けば、海洋散骨行為に対する行政機関の許可や申請は不要です。
⇛海洋散骨の許可については、こちらの記事で詳しく解説しています
厚生労働省の「散骨に関するガイドライン」は遵守しなければならない
直接禁止する法律や規定はないものの、近隣住民や観光業・漁業関係者とトラブルにならないよう、海洋散骨では守るべきルールやマナーがあります。
それが、厚生労働省が制定した「散骨に関するガイドライン」と、日本海洋散骨協会が策定した「日本海洋散骨協会ガイドライン」です。
両ガイドラインの要点を整理すると、主に以下のルールやマナーを遵守する必要があります。
・遺骨は形状を視認できないよう粉状に砕く(法律に則り1~2mm程度に粉骨する)
・散骨は海岸から一定の距離以上離れた海域で行う(川やダム、個人の私有地、養殖場や漁場などは不可)
・服装は喪服ではなく平服にする(地域住民や漁業者等関係者の利益、宗教感情等を害することのないよう十分に配慮する)
・副葬品は自然に還るものに限定する(ビニールやプラスチックは避け、自然環境に悪影響を及ぼすような行為は行わない)
海洋散骨を検討中の方は、両ガイドラインを一読のうえ、適切な散骨方法に関する理解を深めておきましょう。
海の法律や許可も遵守する必要がある
ガイドラインに記載してあるように、海洋散骨は海岸から一定の距離以上離れた海域で行う必要があります。そのため、散骨する海域と港を船舶やクルーザーで行き来します。このとき、海上における事故を防ぐために、海上の交通ルールを遵守しなければなりません。
海上の交通ルールは、主に以下の法律で定められています。
・漁船法
・船舶安全法
・海上衝突予防法
・海上交通安全法
上記の法律では、船舶の速力制限や航路を守る、無線機を備えるなど、海上において配慮すべきことが定められています。
海洋散骨を行う際は、海上の安全航行や漁業に支障がないよう、関連する法律を遵守する必要があることを覚えておきましょう。
自治体が定める条例も遵守する必要がある
観光業や漁業が盛んな地域の自治体では、観光地のイメージを守ったり、農水産物に対する風評被害を防いだりする目的で、散骨を禁止・規制する条例やガイドラインを制定していることがあります。
参考までに、熱海市と伊東市のガイドラインを一部紹介します。
【熱海市】
3.適用範囲
海洋散骨を行う事業者に適用する。
4.事業者の責務
(1)熱海市内の土地(初島含む。)から10キロメートル以上離れた海域で行うこと。
(2)海水浴やマリンレジャーのお客様の多い夏期における海洋散骨は控えること。
(3)焼骨をパウダー状にし、飛散させないため水溶性の袋へ入れて海面へ投下すること。
(4)環境保全のため自然に還らないもの(金属、ビニール、プラスチック、ガラスその他の人工物)を撒かないこと。
(5)事業を宣伝・広報する際に「熱海沖」、「初島沖」など「熱海」を連想する文言を使用しないこと。
(6)その他 1.はじめに(基本的な考え方)及び 2.目的を踏まえて、十分な配慮を行うこと。
(引用:熱海市海洋散骨事業ガイドライン |熱海市)
【伊東市】
3 適用範囲
海洋散骨を行う者及び事業者に適用する。
4 遵守を要請する事項
(1)伊東市内の陸地から6海里(約11.11㎞)以内の海域で散骨しないこと。
(2)環境保全のため自然に還らないもの(金属、ビニール、プラスチック、ガラスその他の人工物)をまかないこと。
(3)宣伝・広報に関し、「伊東沖」、「伊東市の地名」など、「伊東」を連想する文言を使用しないこと。
(4)その他「1目的及び2基本的な考え方」を踏まえて、十分な配慮をすること。
(引用:伊東市における海洋散骨に係る指針|伊東市)
思いがけないトラブルを避けるためにも、散骨を検討している地域の条例やガイドラインを事前にチェックしておきましょう。
「海洋散骨に資格が必要ない」ことが原因で起こるトラブル
海洋散骨は、基本的に誰でも自由に行えるものです。しかし、自由度が高いゆえにトラブルが発生するケースも少なくありません。
主なトラブルとして、以下のようなものがあります。
・悪天候に見舞われ、海難事故に遭った
・独断で散骨し、親族間でトラブルになった
・自治体が定めた条例やガイドラインに違反した
・海水浴場や漁場で散骨して風評被害をもたらした
・粉骨しなかったため、遺骨が見つかり騒ぎになった
・一般客が乗る船舶上で散骨し、他の乗客とトラブルになった
・事前に見積や契約書を確認せず散骨業者へ依頼したところ、予想外の費用を請求された
・散骨した海域や日時が記載された散骨証明書をもらえず、散骨したかわからなくなった
「海洋散骨アドバイザー」資格とは
葬儀や葬送に関する資格には、葬祭ディレクターや終活カウンセラーなど、さまざまな民間資格が存在します。
海洋散骨専門の資格も複数あり、最もメジャーな資格は、一般社団法人日本海洋散骨協会が認定している「海洋散骨アドバイザー」です。
海洋散骨アドバイザーは、予想外のトラブルから故人や遺族を守る目的で設けられた認定資格で、海洋散骨における体系的な知識を持つ専門家を認定します。
「海洋散骨アドバイザー」資格を認定する日本海洋散骨協会とは
一般社団法人日本海洋散骨協会は、2014年に設立された協会です。節度ある海洋散骨を通じ、遺族に安全かつ安心できる海洋散骨を提供することを活動目的としています。
当協会では、海洋散骨を行ううえで、故人や遺族が思いがけないトラブルに巻き込まれないよう、「日本海洋散骨協会ガイドライン」や「海洋散骨ルールブック」などを定めています。
また、海洋散骨の利用者が安心して海洋散骨を行えるよう、たしかな実績や経験を有する海洋散骨業者に対して「ブルーハートマーク」の証を発行しています。
認証を受けた海洋散骨業者は、日本海洋散骨協会のホームページで検索可能です。同協会の加盟事業者数は全国で40社以上あります。
「海洋散骨アドバイザー」資格の取得方法とは
「海洋散骨アドバイザー」の資格を取得するためには、日本海洋散骨協会が主催する講義を受講し、検定試験に合格しなければなりません。
海洋散骨アドバイザーの検定試験は、2か月に1度のペースで実施されています。
講義では、葬送全般に関する知識、法律やマナー、散骨の歴史や実態、海洋散骨を経験した遺族の体験談など、幅広い内容をカバーしています。
「海洋散骨アドバイザー」資格は3種類ある
海洋散骨アドバイザーの資格には、知識量と難易度に応じて3つの種類が存在します。
・認定海洋散骨アドバイザー:海洋散骨に関する適切なアドバイスができる
・認定海洋散骨シニアアドバイザー:海洋散骨を事業として運営できる
・認定海洋散骨プロデューサー:海洋散骨の受注から施行まで担当できる
海洋散骨では、故人を適切に供養するためにも、周囲の人々や環境への配慮が不可欠です。そのため、体系的な知識と技術を持つ「海洋散骨アドバイザー」は、安心・安全な海洋散骨を実施するうえで頼りになる存在といえるでしょう。
「海洋散骨アドバイザー」資格保有者がいる業者なら安心できる
繰り返しになりますが、海洋散骨の実施に必須資格はありません。
ただし、海洋散骨には、トラブルや事故に遭うリスク、法律や条例に違反する恐れなどがあります。
また、海洋散骨業者のなかには、各種ガイドラインを守らずに散骨を実施する業者も存在します。
安全かつ安心な海洋散骨を行うためにも、海洋散骨アドバイザーの資格保有者がいる業者や、業界団体からのお墨付きがある業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
本記事では、海洋散骨に関連する資格の特徴や必要性に加え、資格を持たないことで起こりうるトラブルなどについて解説してきました。
海洋散骨を行うにあたって、必要な資格はありません。資格を持たなくても、基本的には自由に散骨可能です。
しかし、トラブルや事故に巻き込まれる可能性が高いため、散骨を希望する方はプロの海洋散骨業者に依頼することをおすすめします。
ブルーオーシャンセレモニーは、16年で4千件以上の海洋散骨の施行実績を持ち、全国各地で安全かつ安心な海洋散骨を数多く施行してきました。日本海洋散骨協会の加盟事業者の証である「ブルーハートマーク」も付与されています。
海洋散骨業者をお探しの方や、海洋散骨をご検討中の方は、ぜひ一度ブルーオーシャンセレモニーにお問い合わせください。
【参考】