海洋散骨に花は必要?献花の役割や選び方、注意点などを紹介

海洋散骨に花は必要?献花の役割や選び方、注意点などを紹介

2023/09/14

近年、「お墓を維持管理する必要がない」「納骨に比べて費用負担が少ない」という理由から、海洋散骨を選択する人が増えています。

日本の仏教式のお葬式では、献花に関するタブーやマナーなどがありますが、海洋散骨ではどのような点に気をつければよいのでしょうか。

本記事では、海洋散骨で献花するときの花の選び方や注意点について解説します。

海洋散骨とは故人を自然に還す供養方法

海洋散骨とは、祭祀の目的をもって、パウダー状にした故人の遺骨を海に散布する供養方法です。

海洋散骨は、お墓を持たない「新しい供養、墓じまいの形」として注目されている、自然葬の1つです。

最近では、「大好きな海で眠りたい」「自然に還りたい」という故人の想いを尊重し、海洋散骨を選択する人が増えています。

海洋散骨の方法は、主に以下の2種類です。

・船舶上で行う方法
・ヘリコプターやセスナ機で沖合いまで飛び、空から撒く方法

海洋散骨に花はなぜ必要?

祭壇や棺に花を添える行為を「献花」と呼びます。献花には、親族や会葬者などが故人へ花を手向けることで別れを告げ、弔いの意を込めるという役割があります。

この考え方は、お葬式だけではなく、海洋散骨においても同様です。

水面に揺れる花は、心を落ち着かせ、故人を見送る大切なセレモニーに豊かで美しい彩りをもたらします。

そのため、多くの海洋散骨業者のプランやオプションには、献花が用意されています。

古くから故人に花を手向けていた

実は、海洋散骨や仏教式のお葬式に限らず、故人に対して花を手向ける文化は古くから存在します。

考古学者がイランの遺跡を調査したところ、20万年前にネアンデルタール人が、亡くなった幼児に花を手向けていたことが判明しました。

故人に花を手向けたいという感情は、時代や宗教に関わらず、人類共通の本能的な感情といえるでしょう。

海洋散骨で花を手向けるタイミング

ここからは、海洋散骨の流れをおさらいしながら、献花するタイミングを確認していきましょう。

一般的な海洋散骨は、以下の流れで進めます。

1.指定場所に集合し、乗船する
2.出航し、散骨する地点まで移動する
3.散骨し、献花や献酒、号鐘や黙祷をする
4.ゆっくりと旋回し、帰港する

このように、献花は散骨と同じタイミングで行われています。

その理由は、色鮮やかな花びらが海面を揺れる光景を見ることで、人々の心が落ち着き、悲しみが癒え、故人との別れを徐々に受け入れられるようになるからです。

⇛海洋散骨の流れについてはこちらの記事で詳しく解説しています

海洋散骨で手向ける花の種類

原則として、海洋散骨で手向ける花の種類にタブーはありません。

海洋散骨では、茎部分を取り除き、花びらのみを海へ撒きます。そのため、一般的なお葬式では避けられるバラや明るいトーンの花なども含め、どの種類でも献花用の花として選べます。

海洋散骨なら故人が好きだった花を持ち込める

花を自由に選べる海洋散骨では、「故人が生前好きだった花を撒いて見送りたい」「故人が育てていた花を手向けたい」などの希望がある場合、それらの花を持ち込めます。

なお、海洋散骨業者によっては、献花用の花を用意してもらえるプランや、生花祭壇の装飾に使用した花を献花できるオプションが用意されています。

注意点として、花には収穫・栽培時期があるため、タイミング次第では希望する花を用意できないことを覚えておきましょう。どの花を選ぶのかは、海洋散骨業者とよく相談してから決めることをおすすめします。

海洋散骨での花の選び方

海洋散骨で献花する花の選び方は、主に以下の3つです。

・海面で映える花を選ぶ
・故人が好きだった花を選ぶ
・花言葉や名前の由来で花を選ぶ

詳しく見ていきましょう。

海面で映える花を選ぶ

花びらだけを撒くのが、海洋散骨で献花するときのマナーです。

しかし、青や紫など、海面と同系色のトーンの花では海面を揺れる花びらが目立たず、彩りを加えられません。

そのため、セレモニーを美しく彩るためにも、献花したときに目立つ色の花を選ぶことをおすすめします。具体的には、白色や黄色など明るいトーンの花を選ぶとよいでしょう。

故人が好きだった花を選ぶ

一般的に、仏教式のお葬式では「においの強いユリ・ウメ」や「棘のあるバラ」などは適さないとされています。

一方で、花びらだけを海へ撒く海洋散骨では、献花する花の種類を問いません。そのため、故人が好きだった花や思い入れのある花、生前大切に育てていた花などを自由に選べます。

ただし、海洋生物や水質に悪影響を及ぼす恐れがあるため、毒のある花は避けましょう。

花言葉や名前の由来で花を選ぶ

故人に向けて贈りたい花言葉や、花の名前の由来から花を選ぶことも可能です。

例えば、「デルフィニウム」という花は、つぼみがイルカのように見えることから、ギリシャ語の「delphin(イルカ)」が語源とされています。

「イルカのように自由に海を泳いでほしい」という願いを込め、献花する花にデルフィニウムを選ぶ人も多く見受けられます。

海洋散骨で献花するときの注意点

海洋散骨で献花を行う場合は、マナーを守り、海を利用する人や近隣住民などに迷惑をかけないようにしましょう。

注意点は、主に以下の3つです。

・自然に還らないラッピングを外す
・献花する量は常識の範囲内にする
・周囲への配慮として袋に入れて持ち運ぶ

献花によるトラブルを避けるためにも、念頭に置いておきましょう。

自然に還らないラッピングを外す

プラスチックや紙などの自然に還らない素材を海へ流すと、生態系への悪影響や海洋汚染が懸念されます。そのため、献花の際は花のラッピングや袋を外しましょう。

そのほか、海に撒いてはいけないものとして、金属やガラス、ビニールといった人工物などが挙げられます。

また、海洋生物がエサと間違えて口にし、傷つくことがないように、茎や葉なども海へ撒いてはいけません。

献花する量は常識の範囲内にする

献花の量が故人を弔う気持ちを表すわけではありません。むしろ、大量の花びらは海洋汚染につながったり、海岸に流れ着いたものを見た近隣住民とのトラブルに発展したりする恐れがあります。

そのため、献花する際は、常識の範囲内で適切な量を献花するようにしましょう。

献花する量の判断に迷う場合は、海洋散骨業者に相談することをおすすめします。

周囲への配慮として袋に入れて持ち運ぶ

海洋散骨自体は悪い行為ではありませんが、見る人によっては「宗教的感情を害された」と感じる可能性があります。

海洋散骨を船舶上で行う場合、船舶への乗船に利用するマリーナや桟橋などは公共の場であるため、一般市民や近隣住民の心情を害さないよう配慮する必要があります。

具体的には、周囲から判別できないよう、献花する花は袋に入れて持ち運ぶといった配慮です。

海洋散骨において遵守すべきルールとマナー

海洋散骨自体に法律上の問題はありませんが、守るべきルールやマナーがあります。

そこで参考にしたいのが、厚生労働省が制定した「散骨に関するガイドライン」と日本海洋散骨協会が策定した「日本海洋散骨協会ガイドライン」です。

それぞれのガイドラインの内容は、以下のように要約できます。

・トラブルを防ぐため、親族や遺族からはあらかじめ合意や了承を得ておく
・燃焼後の化学物質が海洋汚染につながるため、散骨場所に火気を持ち込まない
・副葬品は遺骨と一緒に海へ散布するため、人工物は避け、自然に還るものだけを選ぶ
・散骨する遺骨は1mm〜2mm程度のパウダー状に細かく粉砕し、遺骨が遺骨だと判別できないようにする
・服装は、葬儀以外の目的で桟橋やマリーナなどを訪れる一般市民や近隣住民に配慮し、平服にする
・散骨する場所は、人が立ち入れる陸地から1海里以上離れた海洋上のみとする(避けるべきエリア:河川、滝、干潟、河口付近、ダム、湖や沼地、海岸・浜辺・防波堤、漁場・養殖場・航路、それらの近辺)

これらのルールやマナーを遵守し、トラブルのない海洋散骨を行うためにも、プロの海洋散骨業者に依頼するのがおすすめです。

信頼と実績のある海洋散骨業者なら、丁寧なヒアリングと適切なアドバイスを通じて、最適なプランを提案してくれます。

まとめ

本記事では、海洋散骨で献花するときの花の選び方や、献花の際の注意点について解説してきました。

海洋散骨は自然葬の1つです。そして、献花は故人を見送る際、豊かで美しい彩りをもたらす重要な役割を担っています。

毒を持つ花以外であれば、献花する花の種類に制限はありません。故人が好きだった花や花言葉などから自由に選びましょう。

ただし、海洋汚染や近隣住民へ迷惑をかける可能性もあるため、安心かつ安全な海洋散骨を実施するためにも、信頼と実績のあるプロの海洋散骨業者に依頼するのがおすすめです。

ブルーオーシャンセレモニーは、日本海洋散骨協会の加盟事業者として、16年で4千件以上の海洋散骨の施行実績を持つ海洋散骨会社です。

「どのような花を選ぶべきか迷う」「自分たちにぴったりのプランを相談しながら決めたい」など、海洋散骨に関するお困りごとがある方は、ぜひ一度ブルーオーシャンセレモニーにお問い合わせください。

 

【参考】

散骨に関するガイドライン|厚生労働省

日本海洋散骨協会ガイドライン|日本海洋散骨協会

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