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2024/01/06
散骨を遺言で叶える5つのポイントとは?書き方と注意点も紹介

散骨は、故人の遺骨を海や山などに撒く供養方法です。
散骨には、「お墓の維持費がかからない」「遺族の負担が少ない」などのメリットがあるため、自身が亡くなった後の供養方法として散骨を希望する方も多いのではないでしょうか。
自身の希望や生前の想いを伝える手段として「遺言書」がありますが、散骨を遺言で叶えるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
本記事では、散骨を遺言で叶える5つのポイント、遺言書の書き方やその注意点について解説します。
散骨は遺言で叶えられるのか
散骨の希望を遺言書に記載することは可能です。ただし、その実施には法的拘束力がなく、実際に散骨するかどうかは遺族の判断に委ねられます。
散骨を希望しても遺族がそれを望まない場合、実施されない可能性があります。
そもそも遺言書とは
そもそも遺言書とは、亡くなった被相続人が相続に関する自分の意思を示す法的書類です。
遺言書には、法的拘束力を持つ「法定遺言事項」と、法的拘束力を持たない「付言事項」の2種類の内容が記載されます。
「法定遺言事項」に記載するのは、相続分の指定や遺産分割方法の指定など、財産の処理に関することです。
一方、「付言事項」には、感謝の気持ちや故人の想い、葬儀や遺品処分に関することなどが記載されます。相続をスムーズに進め、遺族の負担を軽減する役割を担います。
遺言書に法的効力を持たせる方法
原則として、遺言書に散骨を希望する旨を記載しても法的拘束力は生じません。ただし、遺言書に法的効力を持たせ、散骨を実現する方法も存在します。それは「条件付遺贈」や「負担付遺贈」を利用することです。
条件付遺贈や負担付遺贈は、遺言によって財産の一部を相続させる際に、特定の条件や負担を設定する遺贈方法です。
例えば、「◯◯を相続させる代わりに、◯◯で散骨してください」といった形で、条件を設けた遺贈を行い、散骨を依頼します。
円滑な遺言実行のために遺言執行者と祭祀継承者を指定する
遺言書を作成する際には、相続手続きや祭祀儀礼をスムーズに進めるために、遺言執行者と祭祀継承者を指定しましょう。
遺言執行者は、遺言内容の実行に必要な手続きをする人です。一方、祭祀継承者は、葬儀の喪主やお墓の管理など、祭祀に関連する事項を引き継ぐ人を指します。
遺言執行者と祭祀継承者を遺言書に記載して指定することで、将来のトラブルを防止できます。
散骨を遺言で叶えるための5つのポイント
散骨の遺言を実現するためには、散骨を希望する旨を遺言書に記載するだけでなく、以下の5つのポイントに留意することが大切です。
・散骨場所を明確にする
・散骨方法を選定する
・散骨費用をあらかじめ決めておく
・法的に有効な遺言書を作成する
・散骨の希望を家族や親族に伝え、理解を得る
つまり、散骨の場所や方法、費用といった具体的な情報を遺言書に記載し、遺族に散骨の希望を伝え、同意を得ることが重要です。それぞれの点を詳しく見ていきましょう。
散骨場所を明確にする
「散骨してほしい」と遺言書に書くだけでは、遺族が実行に困る可能性があります。遺族の負担を軽減するためにも、具体的な場所を指定しましょう。
例えば、「家族旅行で訪れた思い出深い◯◯沖」「生まれ育った◯◯県◯◯市」といったようにです。
ただし、私有地や川など、散骨が許可されていない場所もあるため、注意しましょう。
⇛散骨できない場所や守るべきマナーはこちらの記事で詳しく解説しています
散骨方法を選定する
散骨には主に、海洋散骨、山林散骨、宇宙散骨の3種類が存在します。
どの散骨方法を希望するか、あらかじめ明確にしておきましょう。
散骨費用をあらかじめ決めておく
散骨費用は、業者やプランによって異なります。
家族や親族のみのセレモニーとするのか、業者に代行依頼するのかなどを考慮して費用の見積もりを取得し、比較検討しましょう。
法的に有効な遺言書を作成する
民法上、遺言書に法的拘束力を持たせるためには、規定通りの書き方で作成する必要があり、形式に反すると無効になります。
例えば、自筆で遺言書を残す「自筆証書遺言」の場合、ワープロや代筆による遺言書は無効です。
希望する散骨を実施してもらえるように、指定の形式を守り、法的に有効な遺言書を作成しましょう。
散骨の希望を家族や親族に伝え、理解を得る
遺言書に散骨の希望を記載しても、遺族が散骨に反対する場合、希望が叶わない可能性があります。また、散骨の遺志を初めて聞いた家族や親族からの反対により、トラブルに発展することもあります。
このようなトラブルを防ぐためにも、家族や親族と十分なコミュニケーションを取り、遺志が尊重されるよう事前に理解を得ておくことが大切です。
散骨を叶える遺言書の書き方【文例あり】
ここからは、散骨の希望を叶える遺言書の書き方を文例とあわせて紹介します。
法定遺言事項をすべて書く
前述のとおり、遺言書の記載内容は、相続に関する事項を記載する「法定遺言事項」と、その他の事項を記載する「付言事項」の2つに分けられます。
まずは、法定遺言事項として、相続や財産に関する内容を記述します。民法で定められた内容に従わないと遺言書は無効となるため、注意しましょう。
散骨の希望内容は付言事項に書く
事前に整理した散骨に関する希望、例えば場所や費用などを付言事項として記述します。
なお、付言事項は内容に制限がなく、長文も可能です。ただし、否定的な内容やネガティブな表現は避けましょう。
一般的に付言事項には、故人の感謝の気持ちや遺言を書いた経緯などが含まれます。
散骨を叶える遺言書の付言事項【文例】
散骨を希望する場合における、遺言書の付言事項の文例を見ていきましょう。
【文例】
付言
①遺言者は、遺言者の遺骨を生まれ故郷の◯県◯沖に散骨されることを希望する
②遺言者は、◯◯会社との契約に基づいて散骨することを希望する
③散骨にかかる費用は、長男◯◯(◯年◯月◯日生)の取得する遺産から充てるものとする
遺言者の具体的な希望や願いを遺言書に詳細に記載することは、遺言者の考えを明確にし、遺族にその気持ちを強く伝えられます。これにより、遺言者の願いが適切に尊重され、散骨が実現される可能性が高まることでしょう。
遺言書作成は専門家や散骨業者に依頼するのがおすすめ
遺言書が法的に有効であるためには、指定の形式を守る必要があります。
法的に有効かつ適切な遺言書を作成するためにも、専門家や経験豊富な散骨業者に作成を依頼することをおすすめします。
遺言書作成を依頼できる専門家とは
遺言書作成の依頼先として、以下の専門家が挙げられます。
・弁護士
・税理士
・司法書士
・行政書士
これらの専門家は多くの場合、無料相談を受け付けており、実際に作成を依頼すると料金が発生します。相続人間の争いが予想される場合は弁護士に、遺言書の内容が比較的簡単な場合は司法書士に依頼するなど、自身の状況に応じて適切な専門家を選択しましょう。
散骨業者なら生前予約と遺言書作成を依頼できるケースも
散骨業者や葬儀会社のなかには、散骨の生前予約サービスを提供しているところがあります。また、行政書士のような専門家が在籍している業者や、生前予約とあわせて遺言書の作成を勧める業者も存在します。
ただし、生前予約に法的効力はありません。散骨を実現させるためには、家族や遺言執行人にその旨を伝えておくことが大切です。
生前予約や遺言書の作成を検討する際には、説明をよく聞き、メリットやデメリットを理解したうえで、納得してから申し込みましょう。
⇛海洋散骨の生前予約を希望される方はこちらからご相談ください
より確実に散骨するためには遺言書とセットで死後事務委任契約を行う
死後事務委任契約とは、委任者が自身の死後の事務を受任者に委任する契約のことです。
故人の生前の希望をより確実に叶えるための方法として、遺言書とセットで準備する方が増えています。
死後事務委任契約で委任できることには、以下のようなものが含まれます。
・葬儀に関するもの:葬儀の形式、埋葬方法、供養方法の指定など
・行政手続きに関するもの:死亡届の提出、運転免許証の返却手続きなど
・生活に関するもの:SNSアカウントの削除、遺品整理、公共料金の手続きなど
なぜ死後事務委任契約が必要なのか
指定の形式を守り、遺言書の付言事項に散骨を希望する旨を記載しても、最終的に実施するかどうかは遺族の判断に委ねられます。仮に遺族が散骨を実施しなくても、罰則はありません。
そのため、遺言書だけでは不確実な散骨の実施を確実なものにするためにも、死後事務委任契約の締結が必要です。
死後事務委任契約の依頼相手
死後事務委任契約の依頼先は、自由に選べます。友人や知人も受任者として選択可能です。
ただし、委任内容によっては友人や知人に負担をかける可能性があります。そのため、内容を吟味したうえで、場合によっては外部の専門家に委任することが望まれます。
依頼相手には、委任内容を確実に実行してくれるような、信頼できる人物を選ぶようにしましょう。
まとめ
本記事では、散骨を遺言で叶える5つのポイント、遺言書の書き方やその注意点について解説しました。
生前から希望していた散骨を遺言で叶えるためには、法的に有効な遺言書の作成が必要です。遺言書は指定の形式に従わないと無効になるため、不安を感じる方は専門家や経験豊富な散骨業者に依頼することをおすすめします。
また、一部の散骨業者は、散骨の生前予約や死後事務委任契約に関する相談にも応じているため、問い合わせを検討してみるのもよいでしょう。
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