ニュースレターVol.4|海の上のお墓参り メモリアルクルーズ®

ニュースレターVol.4|海の上のお墓参り メモリアルクルーズ®

2024/08/28

海の上のお墓参り「メモリアルクルーズ®」
墓標の残らない海洋散骨ならではのお彼岸の過ごし方とは?

当社は、日本における葬送の現状、課題および当社の取り組みなどを紹介する「Newsletter」を発行しています。第4回目は、海の上のお墓参り「メモリアルクルーズ®」をテーマに、お墓参りに代わる海洋散骨ならではの故人の偲び方を解説します。

年1回以上お墓参りをする人が約7割

前回は海洋散骨をおこなったご家族のお盆の過ごし方をご紹介しました。日本ではお盆と同様に、3月と9月のお彼岸の時期も先祖供養やお墓参りをおこなう期間として一般的に知られています。お彼岸は毎年の春分の日と秋分の日を基準にその前後三日間を合わせた期間のことを指し、「彼岸(悟りの世界)」と「此岸(苦しみのある現世)」が最も近づくこの時期に、ご先祖様への感謝を表し供養することが大切とされています。
当社が昨年実施したアンケート調査(※1)によると、お墓参りの頻度は「年に数回」と答えた人が44%で最も多く、次に「年に一回」と答えた人が18%でした。全体の約半数の人がお墓を訪れるのは年に一から数回だけと考えると、そのほとんどがお盆やお彼岸の時期に集中していると予測することができます。

※1)調査名 :墓じまいに関する調査(2023年)
調査期間 :2023 年7 月18 日(火)~7 月19 日(水)
有効回答 :871 名(20~59 歳430 名、60 歳以上441 名)
URL:https://hbclub.co.jp/news/20230810-1268/

お墓参りのように海を訪れる「メモリアルクルーズ®」

お墓参りでは墓所や墓石の掃除をおこなったり、故人の好物を墓前に供えたりすることができますが、海洋散骨はご遺骨を海上から散布する方法のため、一般的なお墓のような墓標が残りません。そのため海洋散骨で大切な人を送り出したご家族は「メモリアルクルーズ®」というお参りのクルーズを利用して、大海原へ旅立った故人を偲びます。散骨実施時には海上の緯度と経度を記録した「海洋散骨証明書」が発行され、散骨をおこなったポイントを確認することができるようになっています。メモリアルクルーズ®はその緯度経度の記録をもとに船に乗って散骨をおこなった海を再び訪れ、船上からお参りをする方法です。

※集計期間:2021/1/1~2024/7/31(当社実績による)
※天候不順等により未実施の月は乗船者数0名としてカウント

 

メモリアルクルーズ®は船を利用するという性質上、天候に左右されてしまうため台風の多い8~9月などを中心に出航ができない月もありますが、東京湾羽田沖では毎月、横浜・みなとみらい沖では数か月に一回のペースで合同メモリアルクルーズという乗り合いの定期便を運航しています。散骨直後から毎月のように乗船する人や、毎年のご命日や散骨実施月に必ず乗船する人、故人の誕生日などの節目に乗船する人など様々な利用者がいますが、やはり世間一般でお墓参りをするお盆やお彼岸の時期には乗船者が増加する傾向です。つまり、海洋散骨をおこなった家族も一般的なお墓を選ぶ家族と同じように、散骨後も永続的に故人を大切に想い偲びたいと考えているということが言えます。

メモリアルクルーズ®以外の故人の偲び方

メモリアルクルーズ®で海を訪れることができるとは言え、散骨後もご遺骨に手を合わせたい、目に見える形を残したいという場合には、手元供養と呼ばれる方法を組み合わせて取り入れることができます。手元供養は小容量の骨壺やペンダントなどの中に遺骨の一部を分けて収納し、自宅等で供養する方法です。身に着けたり持ち運びができるタイプも多く、中には親族や兄弟で複数の手元供養を用意してそれぞれ所持したり、自宅の数カ所に分けて安置したりするケースも見られます。
また故人の出生地や思い出のある地域の海で散骨を行った場合、メモリアルクルーズ®と同時に家族旅行も兼ねてその土地を訪れるというケースもあります。旅行を楽しんで思い出を作ることで、故人を思い出すきっかけを増やし続けることができるのです。他にも、船に乗らない代行散骨を選んだ人や、遠方で乗船場所まで来られないという人には、スタッフがお参りを代行する様子をオンライン中継するサービスもおこなっています。そもそも海に囲まれた島国である日本では、すべての海が繋がっており、身近な海に向かって手を合わせるだけでも気持ちを軽くすることができます。
お墓のようなかたちを残さない海洋散骨は、「海に撒いて終わり」とあっさりした、合理的で一見冷たいような印象を持たれてしまうことがあります。しかしながら別の側面では、かたちがないからこそ、いつ・どこにいても故人を身近に感じることができる葬送方法でもあるのです。より多くの方が自分らしい葬送方法を選べる社会を目指し、世の中に情報を発信し続けることが私たちの使命だと感じています。

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